【2028年完成予定】神戸市役所本庁舎2号館再整備事業を調査

2023.07.03
アバター画像大畑清一郎

みなさまこんにちは!
TOANET株式会社の大畑です。
今回は、神戸の未来を牽引するプロジェクト「神戸市役所本庁舎2号館再整備事業」について調査しました。地上25階建て、高さ125m。行政機能、ホテル、オフィス、商業が複合する建替えプロジェクトです。*2023年6月25日時点の情報です。今後変更される場合があります。

トップ画像
建物完成予想図(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

再整備事業の基本方針及び配置図

■背景

神戸市は、世界に貢献できる国際都市として発展していくことを目指し、平成27年9月に、『神戸の都心の未来の姿〔将来ビジョン〕』及び『三宮周辺地区の再整備構想』を策定し、取組を進めています。一方、本庁舎2号館については、建築から60年以上が経過し、老朽化が進んでいたことや、阪神・淡路大震災の被害を受けていたことを踏まえ、「本庁舎2号館再整備基本構想」(平成30年3月)として、建替えに際しての基本方針を打ち出しました。

■基本方針

三宮駅周辺からウォーターフロント、旧居留地等における回遊性を向上するべく、本庁舎として必要な機能を確保しながら、市民や来街者に向けて、神戸らしい魅力的な文化や都市景観等を発信するとともに、周辺の街づくりの活性化を牽引する、シンボリックな空間整備を行うものとする。

■整備のコンセプト

・効率化、高度化に対応する新たな庁舎機能の整備
・神戸らしい魅力的な機能の導入による集客、にぎわいの創出
・フラワーロードや旧居留地地区との連続性を意識した景観デザイン
・三宮のランドマークとなる、シンボリックな拠点施設の創出
・省エネ、緑化の推進、再生エネルギーの導入などの環境配慮
・災害時における庁舎の機能継続や、施設利用者の安全確保を図るための防災対策強化
などの整備コンセプトを掲げ、「新庁舎・にぎわい施設」を中心とした回遊性の創出をめざしています。

回遊性イメージ
神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典

 

■施設配置

旧2号館の敷地に、「新庁舎」及び「にぎわい施設」と、1号館及び新中央区総合庁舎を結ぶ「連絡ロビー・エネルギー施設棟」が整備されます。現在は、「連絡ロビー・エネルギー施設棟」を建築しています。

施設配置イメージ
施設配置図(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

アクセス・ロケーション

■アクセス

・JR「三ノ宮」駅より南へ徒歩約5分
・阪急「神戸三宮」駅より南へ徒歩約5分
・阪神「神戸三宮」駅より南へ徒歩約5分
・市営地下鉄西神・山手線「三宮」駅より南へ徒歩約5分
・市営地下鉄海岸線「三宮・花時計前」駅より南へ徒歩約3分
・ポートライナー「貿易センター」駅より東へ徒歩約6分

位置図
位置図(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

■ロケーション

グーグルアース・一部加筆
建設地周辺(Google Earthより出典・一部加筆)

今回建築される「神戸市役所2号館」は、南北に走る税関線(フラワーロード)に面しています。フラワーロードで行われる『神戸まつり』は有名で、今年は、4年ぶり、第50回記念のお祭りが開催されました(2023年5月28日開催済)。今回は、神戸市婦人団体協議会の約1,000名が繰り広げる「総踊り」や、神戸ジャズ100周年記念パレード、東京ディズニーランド40周年スペシャルパレードなどで賑わいました。

神戸まつりイメージフォト
神戸まつりイメージフォト(神戸まつり公式HPより出典

「2号館庁舎」建設地の南側には、地上30階建て、高さ132mを誇る、「神戸市役所1号館庁舎」がそびえています。地上24階部には、「展望ロビー」が備えられており、東は六甲アイランドやHAT神戸、南は東遊園地やポートアイランド、対岸の紀伊半島まで見渡すことができます。神戸市民の方であれば、一度は利用されているのではないでしょうか。

神戸市役所1号館
神戸市役所1号館庁舎(2023年6月撮影)

神戸市役所1号館庁舎の南側には、「東遊園地」が広がっています。神戸市では、「都心・三宮再整備」における回遊性向上の拠点として、公園の再整備が進められていました。この度、2023年4月に、公園の再整備が完了。オープニングセレモニーが開催されました。

東遊園地案内図
東遊園地案内図(2023年6月撮影)

新しくリニューアルした公園には、色彩豊かな『見晴らしのひろば』、子どもたちがのびのびと遊べる『芝生ひろば』や『ガーデンステージ』、カフェやグルメが愉しめる『にぎわい拠点施設』など、世代を超えてくつろげる公園です。ちなみに、『トイレ棟』も完備されていますので、長時間遊んでいても安心です。

見晴らしひろば1
東遊園地北側にある『見晴らしひろば』(2023年6月撮影)
見晴らしひろば・植栽
『見晴らしひろば』には、色彩豊かな花々が植栽されています。(2023年6月撮影)

また、『見晴らしのひろば』の横には、子供たちが水遊びをすることができる湧水スペースもありました。定期的に噴水が出ているようです。癒しの光景ですね。

湧水スペース
『見晴らしのひろば』の横にある湧水スペース(2023年6月撮影)

東遊園地の中心に造られた『芝生ひろば』と『ガーデンステージ』。子供たちが、のびのびと遊べます。また、ひろば内には、一人用のチェアも置いてあるので、大人もゆったりとした時間を過ごすことができます。都心の真ん中とは思えないほど、ゆったりしていますね。

芝生広場
子供たちがのびのびと遊べる『芝生ひろば』『ガーデンステージ』(2023年6月撮影)
レストスペース
『芝生ひろば』の横には、ゆったりとくつろげるレストスペースがあります。(2023年6月撮影)

東遊園地の真ん中にある、にぎわい施設棟『URBAN PICNIC』。施設内に入っている、『park kitchen WEEKEND』は、イタリアンを中心とするカフェダイニングです。飲み物や、サンドウィッチ、ソフトクリームなどをアウトドアで愉しむこともできます。このお店については、トアネットの「グルメブログ」にも掲載していますので、是非ご一読下さい!

東遊園地パークキッチン『WEEKEND』でランチ🍝 : グルメ | 神戸三宮でランチしよう!TOANETのグルメブログ

にぎわい施設1
にぎわい施設棟『URBAN PICNIC』(2023年6月撮影)
にぎわい施設2
外に並んでいる本も、自由に閲覧できるようです。(2023年6月撮影)

東遊園地については、税関線(フラワーロード)に面して配されていますが、幹線道路と公園は、大きな樹々が植栽された『ふれあいの森』でセパレートされています。まるで、森の中を通り抜けるような光景です。

ふれあいの森
『ふれあいの森』(2023年6月撮影)
ふれあいの森2
植栽豊かな『ふれあいの森』。心が和みます。(2023年6月撮影)

「東遊園地」の南側エリアには、「こども本の森 神戸」が、2022年3月に開館しています。絵本、図鑑、文学、画集、外国語の本など、対象年齢にしばられず、自由に本とふれあえる、こどものための文化施設です。この施設は、建築家・安藤忠雄さんの寄付により誕生。約21,000冊の本が、多くの方々から寄贈されています。また、多くの方々や法人からの寄付金も、施設の運営費用に使われています。

館銘板
「こども本の森 神戸」館名ロゴ(2023年6月撮影)

この施設は、次の5つのコンセプトを大切にしています。
①命の大切さと震災の教訓の継承
②公園の自然の中から生まれる好奇心
③自由な空間と体験で育む創造力
④神戸の歴史・文化との出会い
⑤世代間とウォーターフロントへーのつながり
素晴らしいコンセプトですね!

こども本の森神戸1
「こども本の森 神戸」南側(2023年6月撮影)

そして、三宮のシンボルともいえる「こうべ花時計」は、「こども本の森 神戸」の南側に移設されています。

花時計
「こうべ花時計」と「こども本の森 神戸」(2023年6月撮影)

ちなみに、上の写真奥、右側に映っているのは、超高層タワーマンション『アーバンライフ神戸三宮ザ・タワー』です。東遊園地の南側に位置していますので、一部住戸からは、東遊園地の緑を楽しむことができます。当社、TOANETでも、多くの取引実績がありますので、ご興味のある方は、是非とも、ご連絡お待ちしています!

アーバンライフ神戸三宮ザ・タワーの売却査定・購入|TOANETライブラリ

アーバンライフ神戸三宮ワー
東遊園地から望む『アーバンライフ神戸三宮ザ・タワー』(2023年6月撮影)

デザイン-Design

■外観デザイン

建物外観デザインは、ガラスウォールを多用するシャープなデサインとしています。一方、建物基壇部には、スクエアなラインを施し、オーセンティックな趣も取り入れています。また、建物低層部から中層部にかけてのセットバックや、高層部におけるデザインウォールなど、神戸のランドマークに相応しい、シンボリックな建物デザインです。

建物完成パース
建物完成予想図(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)
建物外観
建物完成予想図(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

■ランドスケープデザイン

建物北側にある「エントランス」については、多くの人々が賑わえる、オープンな広場としています。フラワーロードとの連続性、建物に面する歩道との一体利用など、多様な人々が集える空間利用が計画されています。

広場
建物エントランスイメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)
建物入口付近イメージ
「施設広場」完成イメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)
フラワーロードに向けてのオープンスペース
建物前オープンスペースイメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)
フラワーロードとつながる広場
フラワーロードとのつながりイメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

建物フロア構成

『神戸市役所2号館新庁舎及びにぎわい施設』のフロア構成については、次の通りです。

建物フロア構成
建物フロア構成イメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

 

【1階・市民利用空間】
広さ約570㎡の「市民利用空間」を整備。開かれた市庁舎として多様な人が訪れ、活動したくなるような交流空間が設けられます。開放的で明るい空間とすることで、市民の交流を促進します。

市民利用空間
「市民利用空間」イメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

【地下1階~2階・商業施設】
神戸に点在する食文化、ライフスタイル等が交わる場を整備。周辺施設や環境とも連携することで、まちの魅力を向上し、発信していく空間を創出します。具体的には、「スポーツや健康の促進(ウエルネス)」、「稀少性・話題性の高い店舗の導入によるナイトエンターテイメントの創出(ナイトエコノミー)」、「地域密着型ショップやライフスタイルの発信(地域魅力発信)」を基本方針に掲げています。どんな施設が入るのでしょうか。楽しみですね!

フラワーロード沿い・夜景イメージ
ナイトエコノミーイメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

【地下1階~5階・行税機能】
市庁舎の執務フロアが整備されます。神戸市の最新拠点としての安全性、機能性を兼ね備えたワークプレイス。新たな働き方や、IT技術進化にも対応できる空間設計を目指しています。

【6階~14階・オフィス】
神戸市内最大規模のオフィスを整備することで、神戸経済の活性化を図ります。多様なニーズを図るべく、「来店型のオフィス」も設けられます。また、ビジネス交流も充実できるよう、「カンファレンス(会議・イベント)」も整備されます。来店型のオフィスには、どのような業態が入るのでしょうか。

【16階~24階・8階一部・ホテル】
国際的ラグジュアリーホテルを誘致し、風格ある街並みの形成を目指しています。十分な広さと上質な客室、ナイトエコノミーを促す交流の場を創造します。ホテルロビーから眺める神戸の夜景は、格別でしょうね。楽しみです!

ホテルロビーイメージ
ホテルロビーイメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

【共用空間・東西道路】
「フラワーロード(税関線)」と「東町線」は、建物階1部分及び地下通路の東西通路でつなぎ、まちの回遊性を高めます。

街の回遊性
回遊性を高める東西通路イメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

事業スキム(新庁舎・にぎわい施設)

定期借地権方式により、建物全体を民間事業者が整備する。

・庁舎機能部分は、神戸市が買い取り、もしくは賃貸により入居。

上記手法を基本とし、神戸市は、一般競争入札(総合評価落札方式)により、再整備事業者を決定しました。(落札価格10,999,267,400円→※予定価格11,000,000,000円)

【落札者・再整備事業者】

代表企業 オリックス不動産株式会社
構成会社 阪急阪神不動産株式会社
同上 関電不動産株式会社
同上 大和ハウス工業株式会社
同上 芙蓉総合リース株式会社
同上 株式会社竹中工務店
同上 安田不動産株式会社
協力会社 株式会社日建設計
定期借地権方式
事業スキムイメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

 

建物概要

主要用途 〔行政機能〕市庁舎、市民利用空間
〔民間機能〕ホテル、オフィス、商業
延床面積 約73,000㎡(容積率約1,200%)※1号館等、同一敷地施設含
建築面積 約4,300㎡(建蔽率約75%)※1号館等、同一敷地施設含
建物階数 地下2階、地上24階
最高高さ 約125m
主要構造種別 鉄骨造、鉄筋コンクリート造
構造形式 中間階免震構造
建物着工予定 2025年予定
建物竣工予定 2028年予定
開業予定 2029年予定
免震構造
免震構造イメージ(神戸市HP・神戸市役所2号館再整備事業に関する資料より出典)

まとめ

『神戸市役所本庁舎2号館再整備事業を調査』、いかがでしたでしょうか。今回の整備事業については、単なる市役所庁舎の建替えではなく、ホテル、オフィス、商業を複合させる内容が素晴らしいと感じました。事業手法についても、定期借地権方式とし、民間企業のノウハウやマネーを最大限活用している点も、素晴らしい内容です。行政と民間企業とが一体となり、神戸の未来発展に寄与する事業ですね。加えて、建物外観デサインも、かっこよく、神戸のシンボルタワーに相応しいデザインといえるでしょう。今回の建物整備事業に先行して、『東遊園地』も整備が完了しています。以前の東遊園地とは、見違えるほど素敵に変わっていて、まさに「都心のオアシス」といえる風景でした。『こども本の森 神戸』も含め、ファミリーが愉しめる、憩いの場所といえるでしょう。最近は、大阪市内のロケーション調査を多く行っていましたが、やはり、神戸は気持ちが和みます。海と山に囲まれ、ゆったりとしたロケーション、ほどよい人混みで賑わう街並み、観光スポットへも徒歩圏で散策できる距離感など。神戸は、まさに、コンパクトシティの代名詞といえるでしょう。

フラワーロード
フラワーロードから望む三宮の街並み。(2023年6月撮影)